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2013年8月13日 (火)

●神の子を宿した乙女『聖母マリアの伝説』!!…マリアの死⑤

《聖母の死》…ヒューホ・ファン・デル・フース/1470年/ブルージュ(ベルギー)―青い服に白いヴェールをつけたマリアが寝台に横たわる。そのまわりを、大天使ミカエルのとりなしによって、各地から瞬時にワープしてきたイエスの弟子たちが囲む。赤い衣装をつけた正面の男性は、「ヨハネによる福音書」の記者で、十字架上のイエスが、母マリアの行く末を託したヨハネだろう。この画家の澄んだ色彩は、レオナルド・ダ・ヴィンチや、フィリッポ・リッピに影響を与えた。《聖母の死のお告げ》…タッデオ・ディ・バルトロ/テンペラ/1491年/シエナ(イタリア)―驚いて身をかたくするマリアと、ひざまずく天使ミカエルのポーズは、同時代の画家シモーネ・マルティー二の《受胎告知》にそっくりだ。ミカエルは、しゅろでもろうそくでもなく、オリーブの枝を持つ。《受胎告知》の天使ガブリエルもしばしば手にするオリーブの枝は、天の栄光の象徴。両側は、ペストなど伝染病の守護聖人、コスマスとダミアーノ。
◎マリアの死―[大天使ミカエルから死のお告げを受ける]
†イエスの死を、聖母マリアが十字架のそばに立って見守っていたと伝えるのは、「ヨハネによる福音書」である。わが子を喪ったマリアの悲しみは、疫病や戦争で子を亡くした親たちの共感を呼び、芸術家たちの心を打ち続けた。だが、その後のマリアの行状について、『聖書』は何も語らない。マリアの死が描かれるのは、13世紀に『黄金伝説』が成立してからである。同書によれば、マリアは、ユダヤ人による迫害を逃れ、エフェソスまたはエルサレムで暮らし、そこで息を引きとったという。死に際しては、懐妊のときと同様、天使が告知にやってきた。「ここに、天国から持ってきたしゅろの葉があります。これをあなたの棺の前につけなさい」さらに天使は、「天国であなたの息子がお待ちしている」と、告げる。この天使が手にするしゅろは、受難と魂の再生のシンボルであり、受胎告知の場面で見られる白百合と好対照をなす。聖母に死を告げるのは、大天使ミカエルである。ミカエルは、「ヨハネの黙示録」によれば、天の軍勢を率いて悪魔と戦う天使の長だ。また、最後の審判に際して、死者の魂が天へ昇るのか、それとも地獄へ堕ちるのかを見きわめる裁きの天使でもある。このほか死の告知には、ろうそくが登場する。これはキリストそのもので、悪魔祓いの火であり、消える命を象徴する。当然ながら、死のお告げを受けるマリアは、受胎告知のときより老けている。『黄金伝説』によれば、マリアは15歳でイエスを産み、その33年後にイエスを喪う。同書はマリアの死が、イエスの死から24年後(72歳)とする当方教会の教父の説と、12年後に60歳で没したとみる西側の歴史家の説を紹介し、後者に共感を寄せている。
◎弟子たちはワープしてきた!?
死の床のマリアは、イエスの弟子たちに囲まれている。これは、冷静に考えれば妙な絵柄だ。なぜならこのとき、弟子たちは伝道のために各地に散り、多くは殉教し、すでにこの世にいない。『黄金伝説』によれば、マリアが、死ぬ前にもう一度だけ弟子たちに会いたいと願い、これをミカエルが聞き入れたという。弟子たちは、それぞれのいる場所から、令によって運ばれてきたのだそうだ。ミカエルの告知から3日後のこと。日没の3時間後、天使や聖人をともなったイエスが、マリアを迎えにきた。なお正教会では、マリアの「死」とはいわず、「就寝」という言葉を用いる。その死は通常の死ではなく、肉体をもったまま天に上げられるからだ。

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