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2013年8月15日 (木)

●神の子を宿した乙女『聖母マリアの伝説』!!…聖母披昇天⑥

《聖母披昇天の祭壇》…アザム兄弟/1718-1722年/バイエルン(ドイツ)―墓から浮かび上がり、今しも天使たちとともに昇天しようとする聖母マリアと、その光景に驚き、めいめいの反応を示すイエスの弟子たちが、渦巻くような動きによって表現されている。建築家だった兄コスマス・ダミアン・アザムと、彫刻を得意とした弟エギト・クウィリン・アザム兄弟による、バロックの傑作のひとつである。《聖母披昇天》…ネーリ・ディ・ビッチ/1465年/テンペラ/モスクワ(ロシア)―天へと続くアーモンド形の光に包まれた聖母マリアが、その昇天を疑う使徒トマスに自らの腰帯を垂らして、これを裏付けようとしている。作者のネーリ・ディ・ビッチはフィレンツェ出身で、祖父の代から画家の家系。作風はやや保守的だが、マリアを題材とした多くの作品が、トスカーナ帯に残っている。
◎聖母披昇天-[肉体をもったまま、天の国へ上げられる]
†聖母披昇天も他の逸話と同様、『聖書』では言及されていない。13世紀に成立した『黄金伝説』の記述によって広まり、さかんに描かれるようになった主題である。マリアの死から3日後、その墓を弟子たちが囲んでいると、マリアの魂が、大天使ミカエルやイエスにつき添われて現れ、その体に戻る。これは「マリアの復活」と呼ばれているが、もちろんベースは、「イエスの復活」だ。イエスが死の3日後に復活したのと同じ状況を模すことで、マリアの地位の向上を図ったのだろう。ドラマはここからである。その後ふたたび、マリアの魂と肉体は、天使たちによって天へとにぎにぎしく運ばれていくのだ。これが「聖母披昇天」と呼ばれる。まず、大天使ミカエルが、マリアの魂を抱えて立つと、イエスがそのかたわらで呼びかける。「お起きなさい。おかあさん。私の白鳩、栄光の聖櫃、命の壺、天の神殿。私を受胎したときに汚されなかったように、墓の中でも肉体は滅ぼされないでしょ。」こうしてマリアの魂は、天使たちに誘われて昇天していく。これは、どうしても大作になる。何しろ登場人物がやたらと多い。墓のまわりを十二使徒が囲み、宙には無数の天使たちが飛び交う。天使たちは、アーモンド形の別世界を掲げ、そこへワープできる乗り物のような後光の中で、聖母がひときわ輝いている。空になった墓には、しばしば聖母の象徴であるバラの花が咲き誇る。※《聖母披昇天》についてはフランダースの犬とルーベンスその②も参照(画像)
◎疑い深いトマスの役割
†ところで、マリアの死に間に合わず、このドラマチックな現場を見逃した弟子がいた。使徒トマスである。自分の目で見て、手で触れたことしか信じない「疑い深いトマス」のために、マリアは、天からその腰帯を垂らし、彼の疑念を解く。この腰帯は、罪からの救済であり、神への従順を意味する。この逸話もまた、イエスの復活をなぞっている。トマスは、イエスが復活したときにもこれを疑い、その脇腹の傷口に、人差し指を入れて確認したのだ。そんなトマスが、今度はマリアの披昇天を証明する役割を担わされる。このユニークな主題は、マリア論争白熱期の産物である。天上のマリアがトマスに与えた聖なる腰帯は、いわゆる「聖遺物」のひとつで、イタリアのプラート大聖堂に安置され、信仰の対照となっている。聖遺物については、イエスの亡骸を包んだという「トリノの聖骸布」や、その体を十字架に打ちつけたときの聖釘、十字架そのもの、イエスがつけた茨の冠などが有名だ。
★8月15日はカトリック教会では『聖母の披昇天』であり大事な祝日でもある。

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